群青の隘路に

喚き散らかす

心から叫んで、そして滅んでいく世界

 やっと原稿の第一段階が終わったのでブログを更新しに参りました。溜めたな~! 『おそ松さん』22話の感想です。

 

【Aパート:希望の星、トド松】

 骨組みは以下の通りになります。

・女友達と合コンを開催することになったトド松。あと一人男性の頭数を揃えねばならない、というところで、兄達がそれに立候補する

・トド松はこの機会に兄五人へ「自分達がヒエラルキーの最下層であること、ゆえにここで足を引っ張りあったところで意味がない」と力説。その上で誰を連れていくか試験が始まり、それぞれ兄達は女の子への立ち振る舞いを見せる

・結果、誰一人として連れて行けないということが判明。悩んだトド松は神の声を聞き、最終的に「一軍」と称した友人を連れて負け戦に臨む

 ここしばらく六つ子がわいわいしている話が続いていてとても嬉しい限りです。最終回が近いからこその収束なのかなと思うと寂しい気持ちにはなりますが、しかし私は元々六つ子が六人でいることに可愛らしさを感じていたので、見ている間はひたすら楽しかったです。

 さて、この話。まずトド松の進歩にとっても驚きました。トド松は3話パチンコ警察や7話スタバァ、21話麻雀からも分かる通り、実はメンタルが弱いということが指摘されています。彼は幸運に手に入れた大金を前に、「友達の家とかネカフェに泊まって、兄達から一晩逃げよう」ということを考えられませんでした。ただそこにうずくまって悩み、結局それを搾取されています。またアルバイト先でも嘘が露見するや否やひたすら防戦一方。一松の恫喝にただ震えるばかりで、最後には辱めを受けても文句の一つも言えません。麻雀はもう言わずもがなですね。あの場においてカラ松(役満上がり縛りをしているだけで実質六つ子内で最も麻雀が強いと思われる男です)は冷静に兄弟のプレイスタイルを観察・分析しており、その結論としてトド松はメンタルが弱いと言われた。つまりあれは真実であると見ていいでしょう。20話スクール松が私の考え通り「社会性ストレスに対する耐性ランキング」であるとするなら、トド松のメンタルが弱いことの裏付けにもなります。そんな彼が、はっきりと態度に出しました。「お前らなんか最初から選択肢に入ってないよ」と。だって耳に入っていないんですもの。喚くおそチョロは可愛かったですね。「お前から思い出してくれないと寂しくて死んじゃう」ですって。可愛いですね。唇尖らせちゃって。何だかんだ似た者同士の速度松が愛おしかったです。しかしトド松は気付かない。ショックでチョロ松は「死ねばいいのよ!」とオネエ口調になり、一松は泡を吹いて倒れました。そして兄に言いました。「僕達は同世代カースト最下層の住人なんだ、その中で唯一、童貞卒業の可能性が少しだけあるのが僕! なのにお前たちはいつも邪魔をする! クズがクズを妬んでどうする!」そしてトド松は続けます。自分達は徒党を組まなければ一生童貞のままだ。自分が卒業した暁には必ず兄を迎えに来るから、引っ張り上げるから、金輪際自分の足を引っ張るなと。私はすごく感動しました。カーストの順位を決めるのに童貞という要素が絡んでくる(=女はステータスを上げるアイテム)というのはまあ、いつものミソジニーのご愛敬だなって感じなのですが、そんなことはどうでもいい。あのメンタルが弱くて、兄の横暴に散々振り回されてきたトド松が、やっとはっきり自分の本心を言った。いやまあ引っ張り上げる云々は嘘かもしれないけれど、はっきりと兄弟に正論を叩きつけることに成功したのです。正しさはそれだけで強い。トド松の強いところは徹底的に自己分析出来ていて、その上で勝ち戦しかやらないという点にあります。兄は末弟の言葉を胸に受け、オーディションに臨むことに。いやまあここも面白かったですね。まとめましょうか。

・ライジング的なことを言いつつも練習では何も言えず、発言を急かされた結果焦ってまた脱糞未遂を繰り返す一松「だってみんないっぱい言うから……俺には俺のペースがあるのに……」

・基本的な挨拶やおべっかは言えるが、すぐさまセックスに持ち込もうとするおそ松「土下座したらヤらせてくれるのが合コンじゃないの!?」

・いつもの通り良く分からない言い回しの末にお勘定を払おうとする、多分ぼったくりバーの経験しかないんだろうカラ松「お会計だろう?」

・やっぱりライジング的発言をしながら女を見下すが、参加者の写メを見るとふらふら釣られてしまうチョロ松「んんん~~♡」

・合コン、という単語を聞いた時からずっと勃起している十四松「タッティ! 参ったね、おさまんない!」

 連れていけるかこんなもん!!! めっちゃ笑いました。やたらカチンコ打つカラ松が可愛かったり(おそ松を止める時に赤面してるのは何でなんですかね。エロ本も見てるだろうに実際に見るのは恥ずかしいか? 幼女か? 孕ます)そのカチンコをカラ松の番の時は一松が打ってたり(クソ松と言いつつ字体真似てるの愛しか感じない)。あと多分、チョロ松を縛り上げてるのもカラ松ですよね? 下で見上げてるのがおそ松・一松・トド松で、十四松はドラム缶に入っていましたから、その死角に入って画面に映ってないカラ松が縄を引っ張ったのでは。兄弟に対してむすっとした顔を向けていたことも見て、この話、トド松だけじゃなくてカラ松も成長してきている気がします。

 さて、その後一人で悩んでいたトド松は、テーマソングの後(本当に意味わからなくて声出して笑いました)神の言葉を聞きます。cv.大塚芳忠さんはずるい! 「兄達に気を遣っているだけ。どうせ一人しか連れていけないのだから、自分の気持ちに素直になりなさい」そして結局、最初に候補として出した友人、あつし君を合コンに連れていくことになります。顔もいいし車も持っている一軍の彼です。女達はすっかりあつし君に夢中で、トド松は「何もなし男」と呼ばれて軽んじられて終わります。どうしてあつし君を選んだんでしょう? 自分が確実に女の子をゲットしたかったなら、自分とは上手く話せなくても普通丸という選択肢があった。ていうかトド松友達多いな。勝ち戦しかしないはずのトド松が、どうして負け戦を選んだんでしょう? それはやはり神の言った、「兄に気を遣っている」が大きいのではないかなと思います。兄弟の誰もが敵わないような相手を連れていくことで、トド松は、兄から「抽選の平等性」を責められることを防いだ。兄弟の誰か一人を選ぶのはもちろん、「二十代でステータスのない」条件には合致する普通丸を連れていくのは揉め事の元です。そいつでいいなら俺だっていいだろ、そう責められることをトド松は忌避した。私はそう思いました。だから負け戦と分かっていても、女の子をゲット出来なくても、トド松はあつし君を選んだのではないでしょうか。ここぞという時、兄はトド松のことを「トッティ」ではなく「トド松」と呼びました。おそ松は「自分達のような兄がいること」を申し訳ないと言いました。その時にトド松は、自分の格を思い知ってしまったのかもしれません。自覚はしていたけれど、自分はこの松の名を冠する六つ子の一人。この散々なクズ達と同じ。だから誰を選んだところで、女の子は自分に引いてしまうかもしれない。そういうやさぐれた諦めの気持ちもあったのかもしれません。トド松が高い社会順応性を誇りながらここぞという時に家を出られないのは、この「兄弟間への強い帰属意識」が弱いメンタルの中に根付いてしまっているからなのでしょう。アダルトチルドレンの役割で彼はプリンスです。家にいれば愛玩される存在です。外で自分がどうすればただ一人に選んでもらえるのか、もしかしたら、分からなくて自信がないのかもしれない。皆に愛される振る舞いが出来るということは、誰か特別な相手を作れないということと同義だと思う。頑張れトッティ! 早くヤッてくれ!

【Bパート:ファイナルシェー】

 骨組みは以下の通りです。

チベットの小国、アカーツカからとある老人が赤塚台にやってきた。彼は武術の達人だが心臓に病を抱え、自分の代わりに国王を決める武術大会に出てくれる手練れを探していた

・そこで出会ったイヤミのシェーを古代から伝わる武術「死影拳」の構えと見た老人。彼はイヤミを国に連れ帰り、大会に出るよう説得。彼の美しい娘、シャオリンに一目惚れしたイヤミは、修行を受けることを承諾

・大会当日。応援席の六つ子からヤジを飛ばされながら戦うイヤミ。しかしかなりの苦戦を強いられる。絶体絶命になったその時、空から現れたダヨーンによってイヤミは心からのシェーを解放。地球は消滅する

 骨組み意味わかんないですね。でもこれ、公式なんですよね。イヤミがメインの話ではありましたが、ちょいちょい出てくる六つ子が可愛かったです。飲み屋で兄弟喧嘩するところとか、老人相手に六人がかりで喧嘩しかけるチンピラ感とか、イヤミの勝負に持ち金(合計320円)を賭けて「負けたら半殺しな」「家燃やすからね」とヤジを飛ばすとか。あげくイヤミの心からのシェーを引き出すために彼の保険証や通帳を引き裂いたり、カラ松はヌード写真集を出してたり、全裸になって煽ったり。これまで兄弟間で何気ない会話をするとか、六人で過ごす日常的なものがあまりなかった(キャラ各々にスポットを当てる回が多かった)イメージなのですが、この辺りになってからそれが増えたなと感じます。私、チョロ松が21話でクズを認めた時、正直心配したんですよね。あの宣言によって彼のツッコミは効力を失ってしまうのではないかしら、話は成立するのかしらと。けれどチョロ松はライジングを持ちネタにして、ツッコミはしつつ六つ子と一緒にボケるようになりました。周りの人間や視聴者をツッコミにすることで、彼らのギャグは成立した。涙が出ました、嬉しくて。チョロ松もまた成長した。かつての六つ子のように、みんなでやる悪さに加わるようになった。何だかここのところ、最終回が近いせいか、キャラそれぞれの変化が「成長」に思えてなりません。

 展開的にはどんどんイヤミが不憫な目に遭っていくのですが、自然とイヤミには良心が痛まない感じあります。それは彼がずっと、それこそ『おそ松くん』の頃から利己的で自己中なヒールキャラとして描かれているからでしょう。今回もシャオリンを手籠めにする下心がありましたからね。まあそのシャオリン、既婚者で子供もいたんですけどね。ていうかシャオリン釘宮さんだし、本当に松は声優さんを豪華に使いますね!? 毎回毎回ゲストが誰なのか、分かる度に面食らいます。シェー。まあそれはそれとして話に戻りますが、イヤミの存在はこの物語で勧善懲悪をやるのにちょうどいいのかもしれない。ここで面白いのは六つ子もまたクズであるということです。イヤミが悪なら六つ子は善に、六つ子が悪ならイヤミが善に見える。その構図がはっきりしているから、とても楽しく話型に当てはめて見られるのかなと思いました。あとラストのファイナルシェー、あれを引き出したのが4話のアバンにあった巨大うんこであること、まさかここで生きてくるとは思いませんでした。伏線なのか!? これは伏線なのか!? 「間に合ったよん」がイケボすぎて興奮しました。さすが飛田さん。

 そういえばAパートは兄弟滅亡エンド、Bパートは地球滅亡エンドでしたね。何だろうこの滅亡揃い。あとエンディングのトド松が相変わらず私の中の夢豚に語り掛けてくるので困りました。

 あと三回で終わりだなんて私まで滅亡しそうです。