群青の隘路に

喚き散らかす

僕らはまだアダムの代わりでいたい

 『おそ松さん』21話の感想です。今回は考察らしい考察もせずただ喚いているだけです。六つ子のモンペになっているだけです。本当の親があいつらを愛さないから!! 私が!! 私が愛さなくちゃと思ってェエ゛イェーヒッフア゛ーー!!!!!!

 

【Aパート:麻雀】

 六つ子達が嵐の夜、麻雀に興じるお話。各々のプレイスタイルをカラ松が解説し、その上で、おそ松提案の下「命がけの麻雀」を始めることになる。乗りに乗ったおそ松が独走状態になると、次第に兄弟達はふざけはじめ、最終的に全裸になって踊り狂い局を放棄。おそ松は涙ながらに「もうお前らとは二度と麻雀やらないから!」と叫んで終わるストーリー。

 私は麻雀をやったこともなければ麻雀漫画を読んだことすらなく、ゆえにゲームのルールも基本情報も一切分かっていません。なので本編で語られた戦局考察もカラ松の解説も「暗号か?」というくらい分かっていなかったのですが、それはさておき、六人でわいわいやっているお話を見られたのが素直に楽しかったし嬉しかったです。ちなみに放送後Twitterで情報をかき集めてみたのですが、彼らのプレイスタイルは以下のようになるそうで。

オーラス知らずのおそ松:攻めに特化するあまり防御力が皆無。相手から攻められると弱い。ブラフを張っていくタイプ?

和了のファンタジスタ・カラ松:おそらく六つ子の中では一番麻雀が強い。しかし役満のみに絞って狙っていく為上がれない

ノーリターンなオープンリーチ・チョロ松:戦局を読みデータに基づく理論派。しかし嘘がつけないので上がれる牌が周りにバレバレ

卓がえしの一松:普通に弱いし普通に負ける。下手過ぎて機嫌が悪くなって逆ギレする

フリテンの暴君・十四松:運もツキも持っていてゾーンに入れるが、些細なミスや反則(将棋で言う二歩のような感じ?)が出る

ベタオリの貴公子・トド松:とことん守備に徹し、戦略を練ることもある。しかし慎重すぎるあまり攻められると一気にメンタルが崩れる

 要するに皆駄目らしいです。こうして見ると個性が出ていて面白いなあと思います。長兄松なんかはぽいわー、ぽい。個人的には一松が「どうせ僕は麻雀もろくに出来ないクズです」と拗ねるのではないところがとても萌えます。負けず嫌いというか、チョロ松にも「子供かお前!?」と怒られていましたが、兄弟相手には素を出せるようになっているのだなあとしみじみしました。一松がいきいきと楽しそうにしているととてもほっこりします。何が生きる気力のないゴミだよ、お前めちゃくちゃ生命力に満ち溢れてるぞ。しかし不思議なのはトド松ですね。ドライモンスターとまで言われた彼が、小便ちびるほどメンタルが弱るってどういうことなんでしょう。前回の感想でも書きましたが、やっぱりスクール松のカーストはストレス耐性的な意味での社会適合ランキングだったのかな。とはいえ繰り返しますが私は麻雀をやったことがないので、もしかしたらあの卓には、入った者しか分からない空気感があるのかもしれません。ざわ…ざわ…

 そういえばカラ松と一松は一度も同じ卓に入っていなかったような気がしますね。下位争いになると一松の機嫌が余計悪くなるからなのかな……?

 

【Bパート:神松】

 骨組みは以下の通りです。

・ある日突然六つ子の元に「七人目の兄弟」を名乗る神松が現れる。彼は六人の「人としての良心」をかき集めて出来た完全無欠の存在だった

・神松は六つ子が戸惑うほど高レベルな振る舞いをして見せる。周囲の人間はそんな神松にすっかり魅了され、両親は六つ子に就職を迫り、トト子は神松にベタ惚れになってしまう

・神松を排斥することを企む六つ子。しかし彼らが悪巧みするほど神松の力は強くなってしまう。六つ子は半ば無意識に「人としての邪悪な部分」をかき集めた悪松を召喚して、やっと神松を殺害することに成功する

 以前のアダルトチルドレン考察で「六つ子は六人で一人として扱われ、アダムの代わりを強いられている」という旨を書きましたが、それが補完されたのかな、という印象を受けました。神を生み出すにも邪神を生み出すにも、六つ子は六人で力を合わせてやっと一人分を作ることが出来る。どこまでも彼らは六分の一として扱われているのだと思うと、少しばかり涙が出ます。筋肉松も9話で「六倍じゃなくて六分の一」と歌っていましたもんね。お前らがそんなことを受け入れなくていいんだよ。お前らはちゃんと個々の人間でしょうがよ。涙が出ます。

 この話、総じてしんどいなあと思ったのは、六つ子が家の呪縛から逃れられないということが明らかになってしまった点にあります。チョロ松は自らをダメ人間と認め、自分の本心についてはっきり語りました。そのことに兄弟は感嘆し、「チョロ松がこんな風になっちゃったから俺達はもうおしまい」と言いながら笑います。正直私もチョロ松が自らの器の容量に対して自覚を持ったことはとても嬉しかったし、やっとお前を前向きに愛せるぜと慈愛の涙を流したものですが、ですが、それと同時に「ツッコミがいなくなっちゃってこの後どうするんだろう」と不安にも思いました。俺達はもうおしまい、それは本当に比喩でしょうか。どことなくこの『おそ松さん』という物語が、彼らがどこにも行けないまま懐古のみを残して終演するという指針のような台詞ではないかしら。そう思うと神松の「でもいつかは働かなくちゃね」という言葉は、それに抗おうとどこかでもがいている六つ子の深層心理なのかもしれないと思います。神松は六つ子から生まれた存在です。今がとても楽しいけれど、来るべき時が来たら、その時は頑張らなくてはいけない。でも今はそんなこと考えたくないし、欲を言えば働きたくないなあ。そういう意識が、六つ子の中に少しでもあったのではないかしら。だとしたらそれはとても応援したいことですし、それと同時に、松野松代が犯した罪の大きさが浮き彫りになってくると感じました。

 だって六つ子がニートで甘やかされていたのは、松代(=イヴ)が家にいない松造(=アダム)の代わりを務めることを求めたからではないですか。ダースで服を買いアイデンティティを曖昧にして、六人で一つを教え込み、稼ぎ頭が不在の間に箱庭を守る役目を負わせたからではないですか。これでいいのだって、言ってきたからじゃないですか。六つ子だって本当は「いつかは働かなくちゃ」って分かっているはずなんです、それは神松の発言や行動からも分かる。そしてそのいつかは、「両親にもしものことがあった時」なんですよ。そんなの、日常的に考えたいわけないじゃないですか。確かに六つ子はクズです。親の脛をかじって一生遊んで暮らしたがっているクズです。だけど思うだけなら自由でしょう。六つ子達は病床の両親を叩き起こして仕事に行かせるような外道の真似まではしていないはずです。出来ることならの希望論として言っているだけで、彼らは必要に迫られればきっと就職をするし、どんな手を使ってでも金を稼ぐことが出来る(ex.10話レンタル彼女)。それをしなくていいと言ってきたのは、両親ではないですか。松代ではないですか。それを今更神松が出てきたからと言って、都合のいいアダムが、もっと言えば神が出来たからって、突然箱庭から出ていけだなんてあまりに残酷です。六人で一つのアダムとして育てられた六つ子、当然そんな発言にすぐ対応出来るはずもありません。経済的な問題もありますけれど、いきなり「ハイ就職してください」なんて無理難題です。私も就職活動のことを思い出すと無差別な殺意で我を忘れそうになりますが、高卒からブランクがあるであろう六つ子なら尚更のこと厳しい。

 そして彼らは本来自分達のものであった良心に対して、憎しみを抱くことになります。「非の打ち所がない、だからこそもう殺すしかない」「あいつは父さんと母さんを正気に戻した」こんな悲しいことがありますか。自分達が心の奥底で隠し持っていたものを、こんな不条理に両親に搾取されて、それを憎む羽目になるんですよ。これが業でなくて何なんですか。ここで両親に見切りをつけて家を出よう、と思えないくらい、アダルトチルドレンの六つ子は家に固執しているんです。両親と居場所を奪われる、って恐怖したんです。だから六つ子達は神松を殺すことを選択した。各々武器の選択に個性があってめちゃくちゃ笑いましたけどね、カラ松本当に銃好きだねって思いましたけどね。そしてそれでも勝てなかったから、六つ子は抜け殻のようになりながら悪松を呼んだんです。なけなしの良心を搾り取られて、自分達にあるのはもう悪意しかなかったから。そしてその悪意まで吐き出して、六つ子は抜け殻になったんですよ。「凄いもん見た」とか松造言ってる場合じゃないでしょう。息子達の良心を殺させて、暗部を無理矢理引きずり出させたのは、他でもない貴方達ですよ。叶うなら殺された神松の大元が、また六つ子に還元されていればと願わずにはおれません。お前達はもう自由になっていいはずなんだよ。

 ところで一切考察とは関係ないですけど、ゲスト声優さんとても豪華でしたね。悪松なんか最後のワンシーンしか台詞ないのに杉田さんですし。中村さんあるところに杉田さんありなのかな……!?二人の仲良しネタは本当に好きなので、EDのクレジット見て思わず吹き出しました。本編そのものにはめちゃくちゃ笑ってるし萌えているのに、どうしてこんな悲しい想いをしているんだ私は……。この世の中をカ゛エ゛タ゛イ゛!!

 

 これからの松はどうなっていくのでしょうね。クズである彼らを愛でる一方で、そうなるまで捨て置かれていた彼らが哀れでならない。散々笑って萌えて悲しくなって、私このアニメのことを思うと情緒が不安定になります。その点アプリゲーム「おそ松さんのへそくりウォーズ」は何も考えずに無心で出来るのでお勧めです(ダイマ)ホワイトデーガチャ、白スーツの六つ子全員揃いました。ヤッター。