群青の隘路に

喚き散らかす

土くれが花に文句を垂れるな

 近頃、「公式凸」なんて言葉をよく聞くなあと思います。Twitterの普及で原作者や制作陣が身近になったせいなのか、やれ展開が気に食わないとかやれキャラの扱いがどうだとか、リプライ一つですぐに物申せる時代になりました。『おそ松さん』5話で不憫な目に遭ったカラ松について、そのファンが公式アカウントに批判するツイートを送ったのも記憶に新しい。私もまたカラ松ガールズの一人として、5話直後は相当ショックを受けたけれど、そうやって公式に物申す人達のことは「イッタイよねえ!(cv.トド松)」と思いながら見ていました。

 そして先日、『おそ松さん』16話が放送されました。私は前の記事で「一松事変怖いよお」と弱音を吐いていたけれど、考えていた方向性とは180°違う意味で殴られた心地でいます。16話の感想に関してはもう何度か見直して、冷静になった上で書きたいので、それはまたおいおい。今回の投稿では、感想らしいことはあまり書かないでおこうと思います。で、この16話、まあまた随分荒れたようで……。『おそ松さん』は毎回何かしら炎上している気がしないでもないけれど、その話を小耳に挟んで、私なりに思うところがあったので記事に上げてみることにしました。こういうことを言いたくてブログを始めたと言っても過言ではない!140字では足りないほど喚きたい!と思って、今、意気揚々とキーボードを叩いている次第です。今は『おそ松さん』が人気だから目につくだけかもしれないけれど、多分どこのジャンルにも何かしらそういうことはあるのでしょう。別に注意喚起のつもりなど欠片もないのだけれど、暇潰しにして下さればどうぞ幸い。

 

 それでは、やっとタイトルに回帰致します。以下は『おそ松さん』16話のネタバレを含みますので、未視聴の方はご留意下さいな。

 

 16話のBパート「一松事変」は、一松とカラ松の関係性にちょっと踏み込んだ回でした。詳しくは触れないけれど、とにかくこの二人がメインになる話だったと言っていい。二人の絡みを全面に出されたことで、松腐女子界隈は大山鳴動したというわけです。私は前記事でも少し触れた通り一カラ本命であったから、しかも16話から不穏な匂いしか感じていなかったから、アニメをリアタイ視聴していた時はそれはもう大はしゃぎしていました。振り分けアカウントに散々リプライを飛ばしたし、LINEをしてきたゼミの友人(前記事で会議した設定厨のあの彼女です)とも喚きあってスカイプチャットまで発展させました。それくらい衝撃的な回だった。また色松界隈は多分松のCPの中でもかなり大手です。当然人口も多いから、それはもうすごいどんちゃん騒ぎになったことでしょう。私は『おそ松さん』から繋がったフォロワーさんを持たないので、詳しいところは分からないけれど。

 さて、それで面白くないのは他のCPが好きな腐女子達です。「一松事変」ではおそ松・カラ松・一松しか登場しなかったから尚更のこと。特定のCPを攻撃する意図はないのであえて伏せるけれど、他界隈の人たちからすれば、「公式が地雷を推してきた」みたいな状況だっだと思います。周りでお祭り騒ぎしている色松界隈が鬱陶しいという気持ちもあったかもしれない。クラスタが嫌いだからCPも嫌いになる、というのは往々にしてあり得る話です。腐女子のCP好みやキャラ解釈は信仰であり宗教ですから。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いし宗派も憎いし何なら寺も焼き討ちしたい。それは仕方ない。思っていても攻撃さえしなければ何でもいい。思想の自由も信仰の自由も日本国憲法は保障してくれています。それはまあ今はどうでもよくて。

 「公式CP!」と声高にはしゃいで妙なタグで盛り上がっている界隈一部のことも、「公式が地雷でも私は健気に自CPを推すよ!本妻の余裕!」とあてつけがましい気にしないふりマウントをかます界隈一部のことも、一晩明けた私は「ウワッ」と思いました。けれどまあそれは別に構わない。各々で楽しんでいるならそれでいいと思うのです。公式のことを不満に思っても、他界隈のことが不快でも、個人の意見だけに留めておくなら問題はない。はしゃぎ方は人それぞれですから。けれどどうしても看過出来ない発言が、私のTLに流れてきました。

 

「公式が一つのCPを贔屓したら他のCPの創作の幅が狭まる! そういうの配慮してほしい」

 

 繰り返しますが個人を攻撃する意図はありません。私はそれをRTしなかったから、もう発言主のアカウントも辿れない。ただそういう意見への同調が一定数あったからRTが伸びて私のところまで回って来た、と解釈して、私はその意見に反論を立てます。これが公式凸のリプライではなかったことだけが唯一の救いです。で。

 何を言ってる?

 そもそも公式はこのアニメをホモアニメとして作っていません。むしろ16話はそうしたホモ的要素をネタにしてきた話ではないですか。配慮って何だ? 誰に対する? 何の為の? 私達がフィルター通して見てるだけじゃないのか? 「一個のCPを贔屓しないでほしかったな~」くらいならまだ分かりました。けど「配慮してほしい」は違くないか。配慮というのは人が自主的に行うもので他者が求めるものではないし、そもそも私達はそんなことをしてもらえる立場ですらない。「創作の幅が狭まる」って何だ。それは個人の発想力の問題でしょう。

 公式からすれば私達腐女子は「たくさんいるファン層のうちの一つ」でしかありません。顧客であることに間違いはないが、別に私達でなくても構わないわけです。人様の作品を勝手にこねくり回して楽しんでいるだけの私達が、どの面下げて公式に甘い顔してもらえると思ってるのか。普通のファンよりお金を落としているから? グッズやブルーレイで貢いでいるから? だから手前勝手な妄想の為に配慮してもらえる?

 拗れたお客様根性に反吐が出る。

 公式は絶対的な神です。凛として咲く花です。私達はただ養分を搾取されるだけの土くれで、美しいお姿を近くで拝見させて頂ける対価に、搾取を甘んじて受け入れているのです。楽しませてもらう対価に視聴率や金銭を提供している。そんな私達が、偉そうに花に文句を言えるはずがない。お金を払うのは対価であり、そしてそれは私達でなくてもいいのだから。

 もちろん、それが嫌なら離れればいいだけでしょう。公式を応援する為に視聴率やお金を出すかどうかは自由です。『おそ松さん』にさよならバイバイ、俺はこいつと旅に出る\別ジャンル!/てな具合に新天地を求めたっていい。オーキド博士も事情を話せば「そりゃそうじゃ」って言ってくれるんじゃない?

 あともう一つ。私は二次創作を「本編で描かれなかったifを考えるもの」だと思っています。だから公式によって創作の幅が狭まるという言説には心底同意出来ません。自分の都合のいいように媚びてもらわないと創作出来ないなら、もう腐女子なんてやめてしまえ。納豆は大豆には戻れないけど。

 

 16話での一件を取り沙汰してしまったけれど、きっとどこのジャンルでも有り得る話だと繰り返しておきます。旬ジャンルに炎上はつきものです。ただ私が言いたかったのは、「人様のまわしで相撲を取ってる私達が、そのご本人様である公式に文句をつけるなんて舐めた真似が出来ると思ったら大間違いだ」ということです。どうしても気に食わないというなら、グッズだブルーレイだとみみっちい金の使い方をしていないで、いっそ株主にでもなればいい。自分好みの脚本を書いてくれる人を雇って、自分好みのアニメを作ればいいんじゃないかな。

 私は物静かな土くれでありたい。